ホームコラム記事キャッシュレス決済お店で現金が使えない?完全キャッシュレスのメリット・デメリットを解説

お店で現金が使えない?完全キャッシュレスのメリット・デメリットを解説

「完全キャッシュレスの飲食店やお店が増えてきていると聞いたが、デメリットはないのだろうか」という疑問を持つ店舗経営者は多くいらっしゃるでしょう。完全キャッシュレス決済の店舗では現金を取り扱っていないので、デメリットがないか心配になることがあります。 今回の記事では、完全キャッシュレスのメリットとデメリット、向いている業種について解説します。記事の最後にはキャッシュレス決済の選び方もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

完全キャッシュレスとは

完全キャッシュレスとは、現金を取り扱わずキャッシュレス決済だけに対応していることを指します。クレジットカード決済やスマートフォンを使った決済だけが使えるので、非接触型の支払いや会計業務の効率化が実現できます。最近では、都市部を中心とした飲食店や野球スタジアム内で完全キャッシュレスの導入が進められています。

キャッシュレス決済の種類

店舗で使えるキャッシュレス決済の種類は、主にクレジットカード決済、デビットカード決済、電子マネー決済、QRコード決済の4つです。

クレジットカード決済は、利用者がお店で決済したあとに料金が請求される後払い制が採用されています。国内でもっとも普及しているのが、このキャッシュレス決済です。

デビットカード決済には、J-Debitとブランドデビットの2種類があります。銀行のキャッシュカードを利用したサービスがJ-Debit、VISAやJCBなど国際ブランドの決済ネットワークを利用したサービスがブランドデビットです。利用者の銀行口座とカードが紐づけられ、預金残高の範囲内で使える決済方法です。デビットカードで支払うと、料金が預金口座から引き落とされます。

また、電子マネー決済には、交通系電子マネー決済(Suica、PASMO)と流通系電子マネー決済(楽天Edy、nanaco、WAON)があります。電子マネー決済には前払い制と後払い制があり、QUICPayやiDは後払い制です。

QRコード決済は、スマートフォンのアプリを使った決済方法です。PayPay、d払い、auPAY、楽天ペイ、メルペイなどがあり、若い世代を中心に近年利用者数が増加しています。

国内でのキャッシュレス決済の普及率

次に、国内におけるキャッシュレス決済の普及率を見てみましょう。実は、日本は諸外国に比べキャッシュレス決済の普及が遅れていると言われています。

出典:2022年のキャッシュレス決済比率を算出しました|経済産業省

経済産業省が発表したキャッシュレス決済比率の推移データによると、2022年のキャッシュレス決済比率は36%でした。これは、世界最高水準の80%と比較すると低い数値です。政府は、2025年までに40%、そして将来的には80%と完全キャッシュレス決済に近い状態までに移行することを目標とすると発表しています。

日本でキャッシュレス決済の普及が進まない理由のひとつは、手数料の高さにあります。日本の手数料は欧米と比べて高い傾向にあり、コストがかかることに難色を示すお店が多いのが現状です。

完全キャッシュレス決済のメリット・デメリット

ここでは完全キャッシュレス決済のメリットとデメリットを解説するので、ぜひ参考にしてください。

完全キャッシュレス決済のメリットとは?

完全キャッシュレス決済の店舗を運営するメリットは、次のとおりです。

  • 人材不足を解消できる
  • 客単価が高くなる
  • 現金管理の手間を削減できる
  • 利用者が現金を持ち歩く必要がなくなる
  • ポイントが貯まる

労働人口の減少により、日本では人材を確保するのが難しくなっています。そこで完全キャッシュレス決済に移行すれば、レジ締めや現金管理の手間を削減でき、人材不足解消を期待できます。また、完全キャッシュレス決済の店舗なら、スタッフにとって大きな負担となる現金の取り扱いをなくすことができます。これによりスタッフにも精神的にも余裕が生まれ、コア業務に集中できるようになるでしょう。

さらに、キャッシュレス決済での買い物は、現金のように残金を気にする必要がありません。利用者はいつでも好きなときに買い物ができるようになり、客単価向上が期待できます。また、会計時にスタッフとの接触も少なくなるので衛生面でも安心です。

キャッシュレス決済利用者の中には、ポイントを貯めてポイント払いすることを目的としている人もいます。買い物をすると支払い金額の数パーセントがポイントとして還元されたり、マイルを貯めたりできるからです。

貯めたポイントやマイルは、次の買い物や別のサービスに利用できます。ポイント集めを目的とした利用者は、特定のキャッシュレス決済が使える店舗を探しているため、完全キャッシュレス決済を導入すれば集客拡大が期待できます。 このように完全キャッシュレス決済に移行すると、お店側と利用者側の双方にさまざまなメリットがあります。利用者の利便性が良くなるので顧客満足度が向上し、リピーターの獲得にもつながるでしょう。

完全キャッシュレス決済のデメリットとは?

完全キャッシュレス決済のデメリットは、既存顧客が離れるリスクがあるという点です。これまで通っていたお店が完全キャッシュレス決済になった場合、現金支払いに慣れていた利用者は戸惑ってしまう可能性があります。とくに高齢者の利用が多い店舗の場合、キャッシュレス決済に難色を示すケースもあるでしょう。

したがって、完全キャッシュレス決済を導入するなら、利用者層や地域性を見極めてから判断するほうが賢明です。現金の利用が根強い地域にお店なら、移行時期を見計らったほうが良いかもしれません。もし完全キャッシュレス決済のお店へとリニューアルオープンするなら、キャンペーンを実施するなどして、既存顧客にとって魅力ある施策を計画しましょう。

また、完全キャッシュレス決済の店舗で通信障害が起こった場合、使用できなくなるリスクも見過ごせません。日本は災害の多い国であるため、台風や地震などの影響で通信障害や停電が起こる恐れがあります。もし通信障害などによりキャッシュレス決済が使えなくなったらお店が営業できなくなり、お客様に迷惑がかかるかもしれません。いざというときに備え、完全キャッシュレス決済の店舗では日頃から最低限の電源を確保するなど検討しておきましょう。

キャッシュレス決済が向いている業種

経済産業省が2021年に調査した「キャッシュレス決済実態アンケート集計結果」によると、客単価が1,000~1万円未満のお店でキャッシュレス導入が高い傾向にあるとわかりました。つまり、飲食業、小売業、観光業でキャッシュレス決済は向いていると言えるでしょう。

また、海外ではキャッシュレス決済の導入は進んでいるため、インバウンドが狙えるエリアの店舗もキャッシュレス決済が使えるよう準備しておくと良いでしょう。キャッシュレス決済に抵抗のない若い世代の利用者が多い業種も、キャッシュレス決済が向いています。

出典:キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果|経済産業省

キャッシュレス決済の選び方

キャッシュレス決済の選び方を、客単価と地域性、お客様の属性から解説します。

お店の客単価

経済産業省が2021年に発表した「キャッシュレス決済実態アンケート集計結果」では、クレジットカード決済、電子マネー決済(交通系と非交通系)、コード決済ごとの客単価は次のように報告されました。

  • クレジットカード決済:数千円~5万円未満
  • 交通系電子マネー決済:数千円程度
  • 非交通系電子マネー決済:5,000~1万円未満
  • コード決済:1,000~3,000円未満

しかし、どのキャッシュレス決済が適切かは客単価だけでは決められません。地域性やお客様の属性も考慮する必要があります。

出典:キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果|経済産業省

地域性や利用者の属性

店舗を構える地域でどのようなキャッシュレス決済がよく使われているか、調べることも大切です。例えば、交通機関が整備されている関東地方では、交通系電子マネー決済の導入率が高い傾向にあります。電子マネー決済には流通系電子マネー決済もあり、例えばエリア内にAEONがあり利用者が多いのであればWAONを使っている人が多い可能性も考えられます。

さらに、インバウンドが見込まれる都市部や観光地域ならキャッシュレス決済の導入は必須です。外国の観光客でも利用しやすいクレジットカード決済を利用できるよう準備しておくと効果を見込めるでしょう。

また、利用者の年齢によってもどのキャッシュレス決済を導入すべきか異なります。年齢層が高めであればクレジット決済を、若い世代が多いなら電子マネー決済やQRコード決済がおすすめできます。電子マネー決済やコード決済なら個人審査の必要がない場合もあり、クレジットカードを持っていない若い世代にとって利用しやすいからです。したがって、利用者に若い世代が多いのであれば、電子マネー決済やコード決済の導入を検討しましょう。

メリットやデメリットを理解して完全キャッシュレス決済の店舗へ移行しよう

完全キャッシュレス決済へと移行すれば、人件費を削減でき客単価アップが期待できるでしょう。一方で、現金支払いに慣れた既存顧客が離れるリスクがあるので、地域性や客単価を見定めることが大切です。

日本決済情報センターは、多様なキャッシュレス決済サービスの導入を支援しています。クレジットカード決済、電子マネー決済、デビット決済、QRコード決済などの導入に必要となる面倒な手続きを、すべてお任せいただけます。完全キャッシュレス決済への移行をご検討されているなら、私たちがサポートいたしますのでお気軽にご相談ください。

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